2013.04.17

経営者感覚を持つ社員

先日同業者の方の出版記念の式典があり参加してきました。この会は仲間の税理士が主宰となり、経営者向けの勉強会を立ち上げなんと300回達成という偉業を記念する会でもありました。25年間継続してきた歴史を振り返るとともに、研究会に何回かスピーカーとしてお話しされた、埼玉県川口市に本拠を置く株式会社ヤオコーの川野会長のお話もお聞きすることができました。

ヤオコーは明治23年に創業した地方の八百屋さんから、現在首都圏に118店舗を展開する「豊かで楽しい食生活提案型スパーマーケット」を創り上げている素晴らしい企業です。この企業の強みはいくつかありますが、私が感じた点は2つ!!一つは、創業者・経営者の理念が「ヤオコーのこころ」(社内限定版)として、社員の判断基準の礎となっていることです。社員はパートの方を含め、これにより求められる人格や職務の能力を高めるとともに、経営の現場でいかに具体的に発揮するかに注力されていることです。二つ目は「個店経営・全員参加の商売」を掲げ、118店舗の各1店ごとにその店舗で働くすべてのメンバーが一緒になって店づくりをし、全員参加で商売をしているところです。具体的には、本部が示す基本コンセプトと一定の基準さえ担保すれば、各店舗が主体的により良い店づくりをして良い・・・-個店を経営ーする裁量を与えていることです。本部マニュアルの発注ルールはあっても、お客様の利便性や店舗の特殊性を考えてより良い発注ができるのであれば、パートのメンバーにも権限を委譲しているという事です。

理念を実現するために、社員一人ひとりの力を最大限発揮できる環境を調える。自分のやった仕事がお客様の反応となり、お店の収益性を向上させる。そしてそれが公正・公平に評価され全店舗で共有できる仕組みを持つヤオコーのマネジメントシステムは、中小企業が抱える人材育成―経営者感覚を持った社員を育てたい―を実現する有効な戦略であることを確信しました。